道路啓開(くしの歯作戦)

命の道を切り開く、一刻を争う戦いへ。

「くしの歯作戦」とは、内陸部を南北に貫く東北自動車道と国道4号から、「くしの歯」のように沿岸部に伸びる何本もの国道を、救命・救援ルート確保に向けて切り開く作戦のこと。
想像を超える巨大津波は、太平洋沿岸の各地に壊滅的な被害をもたらし、がれきや橋の流出で沿岸部の各地を孤立させた。地震発生直後、国土交通省 東北地方整備局の災害対策室には、幹部や職員が続々と集結。 道路関係事務所や出張所と連絡を取り、被害確認と対策立案を急いだ。そして、直ちに、命の道確保に向けてルートを切り開く「くしの歯」作戦を決行した。


がれきを処理し、段差を直し、救命・救援ルートを切り開いた。

負傷者の命を救い、被災者に緊急物資を届けるルートを確保せよ。
被災直後に立案された「くしの歯作戦」のもと、道路の「啓開」が実施された。啓開とは、切り開くこと。 県の職員、陸上自衛隊、地元の建設会社、国土交通省 東北地方整備局の職員たちが一丸となって、がれきの中を突き進んだ。余震が続き、津波警報が出されている中、「一人でも多くの命を助けるために」という思いで懸命の作業が続いた。それにより、翌日の12日には11ルート、15日には15ルートが開かれ、救急車や警察、自衛隊などの緊急車両が通行可能に。
医療チームも被災地に入る事ができ、支援物資なども届けられることとなった。

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道路啓開(くしの歯作戦)に関する伝承看板

救援ルートを切り啓いた「くしの歯作戦」(釜石市)

設置場所 : 岩手県釜石市鈴子町 (釜石駅前広場内) MAP

 巨大津波により、国道283号と国道45号の交差付近には約2㎞にわたり瓦れきなどが堆積し、緊急車両等の進入が出来ない状況だったが、自らも被災者である地元の建設業者、国、地方自治体、自衛隊など、関係機関は、被災直後に立案された“くしの歯作戦“ のもと、一丸となって「道路啓開」を実施した。
 また、“くしの歯作戦“ルートの一つである国道283号では、甲子跨線橋(仙人峠道路)の背面に段差が生じていたことから、地元建設業者らで夜を徹して作業を行い、翌日夜に応急復旧を完了させた。
 これらの「くしの歯作戦」により、被災2日後には内陸部からの救命・救援ルートが確保された。 


救援ルートを確保した道路啓開「くしの歯作戦」(宮古市)

旧 宮古市役所 敷地内(岩手県宮古市新川町2-1) MAP

 太平洋沿岸に押し寄せた津波により、大量のがれきが道路に流出し、沿岸各地が孤立した。
 地元建設業者、国、自治体等関係者らは、震災直後に立案された「くしの歯作戦」のもと、一丸となって道路啓開を実施し、沿岸被災地での救助活動、物資輸送を可能とした。
 宮古市役所前の国道45号、国道106号は、震災時に「くしの歯作戦」として道路啓開を行った箇所であり、道路啓開時は、速やかに通行確保するため、市役所敷地内を一時的に迂回路として活用した。


救援ルートを切り啓いた「くしの歯作戦」(南三陸町)

南三陸町 MAP

2011年3月11日14時46分、マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生しました。
東北地方を中心に北海道・関東地方も含む太平洋沿岸には巨大津波が押し寄せ、道路の崩壊や橋桁の流出など、各地に壊滅的な被害をもたらし、沿岸部の被災地を孤立させました。
被災直後に立案された“くしの歯作戦”のもと、「道路啓開」が実施され、3月18日までに国道45号、6号の97%(残りの3%は福島第一原子力発電所の警戒区域)の通行が可能となり、「道路啓開」は完了しました。
南三陸町では、余震が続き大津波警報が発令されている状況下で、地元建設業者、国(仙台河川国道事務所)、地方自治体、自衛隊など、関係機関が一丸となって「道路啓開」を実施しました。“くしの歯作戦”に位置付けられた国道398号は国道45号交差点までの約3㎞にわたり流出物が堆積し、緊急車両等の進入が出来ない状況になっていましたが、自らも被災者である地元の建設業者等の迅速かつ献身的な協力により、被災から2日後の3月13日には内陸部からの救命・救援ルートが確保されました。