激震と巨大津波により、太平洋沿岸を通る国道が各所で被災、道路が寸断された。
一刻も早く、被災者を孤立から救え。
「命の道」確保に向けて、被災地へのルートを切り開く。
「くしの歯作戦」が決行された。内陸部を南北に貫く東北道と国道4号から、くしの歯のように沿岸部に伸びる何本もの国道。その生命線を確保せよ。
負傷者の救命、救援物資の輸送のため、地震発生直後から昼夜を問わず、一刻を争う戦いが始まった。
一刻も早く。 救命・救援ルート確保への記録
37分後、緊急発進。
防災ヘリからのライブ映像が、早期対応の判断材料に。
巨大津波は仙台空港をも呑み込んだ。だが、その直前、国土交通省 東北地方整備局の防災ヘリ、「みちのく号」は飛び立っていた。地震発生の直後、民間航空会社の乗員は格納庫の壊れたシャッターを切断し、テイクオフに備えた。そして国土交通省東北地方整備局からの指令を受け、地震発生から37分後に飛び立った。
ヘリから送られてくるライブ映像は、想像を絶する巨大津波をとらえ、衝撃的な被災状況を伝えた。この情報が、真っ先にすべきは救命、救援ルートの確保、という判断をもたらした。
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大型防災ヘリコプター「みちのく号」
2011.3.11 PM 3:23
東北地方整備局資料
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2011.3.11 PM 4:17
東北地方整備局資料
「くしの歯作戦」、決行。
命の道を切り開く、一刻を争う戦いへ。
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「くしの歯作戦」とは、内陸部を南北に貫く東北自動車道と国道4号から、「くしの歯」のように沿岸部に伸びる何本もの国道を、救命・救援ルート確保に向けて切り開く作戦のこと。
想像を超える巨大津波は、太平洋沿岸の各地に壊滅的な被害をもたらし、がれきや橋の流出で沿岸部の各地を孤立させた。地震発生直後、国土交通省 東北地方整備局の災害対策室には、幹部や職員が続々と集結。
道路関係事務所や出張所と連絡を取り、被害確認と対策立案を急いだ。そして、直ちに、命の道確保に向けてルートを切り開く「くしの歯」作戦を決行した。
2日間で、11ルート確保。
がれきを処理し、段差を直し、救命・救援ルートを切り開いた。
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岩手県 陸前高田市
国土交通省 東北地方整備局資料
負傷者の命を救い、被災者に緊急物資を届けるルートを確保せよ。
被災直後に立案された「くしの歯作戦」のもと、道路の「啓開」が実施された。啓開とは、切り開くこと。
県の職員、陸上自衛隊、地元の建設会社、国土交通省 東北地方整備局の職員たちが一丸となって、がれきの中を突き進んだ。余震が続き、津波警報が出されている中、「一人でも多くの命を助けるために」という思いで懸命の作業が続いた。それにより、翌日の12日には11ルート、15日には15ルートが開かれ、救急車や警察、自衛隊などの緊急車両が通行可能に。
医療チームも被災地に入る事ができ、支援物資なども届けられることとなった。
堤防が、緊急輸送路に。
道路兼用河川堤防の復旧を最優先し、緊急物資輸送などが実現。
北上川河口部(石巻市釜谷地区)では、道路兼用の河川堤防が1,100mにわたって流出した。
そのため集落が孤立し、救援活動などが行えない状態に陥った。
まずはクルマ1台が通れる幅の確保を最優先に復旧を実施。3月14日、暫定1車線での通行が可能に。
これにより、緊急車両の通行や緊急物資輸送が実現し、被災者支援に結びついた。
また、同様の被災を受けた道路兼用の河川堤防も、交通確保を最優先に復旧活動が行われた。
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暫定1車線で供用 2011.3.14
ポンプ車投入、排水量500万㎥。
仙台空港とその周辺にポンプ車を集中投入、早期に一部復旧へ。
東北の空の玄関として重要な仙台空港も巨大津波に襲われた。
空港ビルは中2階まで浸水、1階部は壊滅状態に。空港内はもとより沿岸部周辺の広いエリアが浸水し、甚大な被害を被った。国土交通省では空港の再生に向け、排水ポンプ車を全国から集中投入。3月24日よりポンプ車25台、24時間体制で排水を開始した。
ポンプ車の台数は延べ約250台・日にも及び、排水した水の量は約500万㎥に達する。これは25mのプール14,000杯分にも相当する。そして被災から約1ヶ月後の4月13日、臨時便での一部就航が開始された。
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被災した仙台空港 2011.3.13
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仙台空港・排水開始 2011.3.17
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復旧の進む仙台空港 2011.3.24
3月23日(水)までに主要10港、接岸可能。
被災3日後から、港湾内の障害物を取り除く航路啓開を開始。
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(沈んだコンテナの除去)
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(沈んだクルマの除去)
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(流出した木材の除去)
3月13日夕刻の津波警報・注意報の解除を受け、翌14日早朝から海に流出、または沈んだコンテナやクルマ、漁網などの回収を行う航路啓発が開始された。
被災地への支援を第一に、宮古港、釜石港、そして東北最大の港湾である仙台塩釜港を優先して啓開。その後、3港以外の主要な港湾にも展開された。被災後5日目となる16日には、釜石港に緊急物資船が入港。23日までに被災10港で、暫定の航路が確保され、海上からの緊急物資の搬入が可能となった。
また、震災から10日目となる21日には、仙台塩釜港にオイルタンカーの第一船が入港し、深刻を極めていた燃料不足が緩和された。
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3月21日〜31日までの入港実績
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3月21日〜26日 2,000Kl級タンカー 8隻 |
燃油約16,000Kl |
3月27日〜31日 5,000Kl級タンカー 12隻 |
燃油約37,000Kl |
計 | 燃油約53,00Kl |
※宮城県内で1日に必要な燃料(ガソリン約3,700〜4,500Kl) |