発災当日から被災地に派遣されたリエゾン(災害対策現地情報連絡員) は、首長のニーズを詳細に把握し、首長の片腕として、あらゆる物資の調達、調整の橋渡し役も担いました。
『全て任す。とにかく人命最優先に、国の代表と思ってあらゆること をやってくれ』という国土交通大臣の命を受けて、被災地には、市役所の代わりになる仮設ハウス、燃料から日用品、生理用品まで、およそ通常業務を超えた調達でした。
3.被災地支援
4県31市町村へ派遣。
派遣された連絡要員が、県や市町村をサポート。
被災した県や市町村に国土交通省の職員を派遣し、連絡員として県や市町村の中で働いた。
リエゾン(災害対策現地情報連絡員)と名付けられた彼らは、自治体のニーズを把握し、さまざまな支援機関との調整を実施。国と県との調整や法律の解釈にたけ、災害対応に追われる自治体職員に成り代わり、市長などの片腕としてサポート。リエゾンは4県と31の市町村、自衛隊に派遣され、3月23日のピーク時には96人に。災害発生直後から6月30日まで、延べにすると3,916人にも達した。
被災自治体に、通信機器を配備。
被災した市町村の途絶した通信を衛星通信車などが確保。
被災者にとって命綱ともいえる通信が壊滅状態に陥った。宮城県の南三陸町などのように市役所そのものが被災し、行政機能を喪失した自治体も出現した。
この被災翌日から国土交通省では、全国の地方整備局から災害対策車などを調達し、4日目までに16自治体に送り込んだ。4月15日のピーク時には192台を配備。これによりすべての市町村との通信が確保され、被災状況の把握から支援物資の要請まで自治体の声が届くこととなり、被災者への支援に繋がった。
ヤミ屋のオヤジ。
所管にとらわれない、垣根を越えた物資調達が行われた。
被災された市町村長あてに東北地方整備局長からの一通の手紙が、派遣されていたリエゾン(災害対策現地情報連絡員)から手渡された。そこには、自分を「ヤミ屋のオヤジ」だと思って何でも言いつけてほしい、と書かれていた。すでに「国土交通省の所管事項以外のことでも援助します」と伝えてはいたものの、遠慮される市町村長が多かったため、本気度を伝えようと踏み込んだ、役所の文章には珍しい表現をとった。
それから、多くの市町村長から連絡をいただけるようになり、異例の物資調達が始まった。
仮設ハウス、仮設トイレ、燃料などのほか、生理用品から棺まで、あらゆる物資を用意した。
手渡した手紙
平成24年3月22日(火)
被災された市町村の首長さまへ
東北地方整備局長 徳山日出男
災害復旧、お疲れ様でございます。昨日もお手紙を差し上げましたが、本当に国土交通省の所轄事項以外のことで結構ですので、なんなりとお申し付けください。
昨日は、こんなこともありました。某市長との会話です・・・。
私「棺桶でも大丈夫ですよ」 市長「本当にそんなことができるんですか!?」
実際、各方面に直接電話して、直接買い付けたり、持っている方にお願いしたりしました。
まだ、「国土交通省の整備局なんだからこんなことは無理だろう」という先入観をお持ちだと思います。大畠国土交通大臣からも「国土交通省の枠を超えて政府代表の局として対応せよ」と言われておりますので、本当に何でも遠慮なく言ってください。
私のことを「整備局長」と思わず、「ヤミ屋のオヤジ」と思って下さい。いつでもお手伝いさせていただきます。
市町村支援物資の例 (3月31日現在)
品目 | 総数量 | 要望件数 | 調達済件数 |
---|---|---|---|
仮設ハウス | 300棟 | 12 | 8 |
カーペット | 1,951㎡ | 2 | 0 |
断熱材 | 6,990㎡ | 2 | 0 |
仮設トイレ | 1,039基 | 11 | 11 |
テント | 576張 | 7 | 4 |
埋葬箱 | 100本 | 1 | 1 |
収納袋 | 883袋 | 2 | 2 |
ガソリン | 11,000L | 4 | 4 |
軽油 | 36,740L | 17 | 17 |
灯油 | 56,400L | 8 | 8 |
発動発電機 | 95基 | 9 | 9 |
通信設備 | 1台 | 1 | 1 |
衛星電話設置 | 1式 | 1 | 1 |
バックホウ | 6台 | 2 | 2 |
水・茶 | 31,900本 | 8 | 8 |
日用品・食料品等 | 1式 | 22 | 22 |
生理用品 | 300個 | 1 | 1 |
おむつ(子供用、大人用) | 500個 | 1 | 1 |
ふとん | 300組 | 1 | 1 |
洗濯機 | 30台 | 2 | 2 |
・ ・ ・ |
|||
合計 | 218 | 198 |
3/13以降の要望への対応 (3月31日現在)
- 対応済率91%(=198/218)
- 平均対応日数2.93日
被災市町村のSOS HPで全国へ発信。
通信手段を失った市町村にホームページを開放。
被災した市町村では、通信手段が破壊され有効な情報手段がない状況に。被災地では物資不足に陥り、不自由な生活を強いられているに違いない。そこで、国土交通省 東北地方整備局では、本格的な通信手段が回復するまでの間、ホームページ上に「被災した市町村のための臨時掲示板」を開設した。物資補給に関するニーズなどを発信する掲示板として20市町村が利用、切実な要望が掲載され、全国からの支援物資提供につながった。